YouTubeやInstagramなどの広告で、脱毛が無料で利用できると謳っているものを見たことはありませんか。脱毛をするのには色々なコストがかかるにも関わらず、無料で利用できるのはなぜなのか気になっている方も多いでしょう。
そこで今回は脱毛が無料で利用できるからくりについて解説いたします。
「脱毛無料」のサロンが利益を得ているからくり
「脱毛無料」と広告に記載されていると、消費者心理としてはついつい契約したくなってしまいます。しかし、完全に無料で利用可能であれば、脱毛サロン側としては利益を得ることができません。
利益を得るために、以下のような契約内容が隠されていることがほとんどです。
- 無料期間内で脱毛が完了しない
- 解約金が発生する
- 契約が数年単位でしかできない
無料期間内で脱毛が完了しない
脱毛無料と記載されていれば、料金が発生することはありません。しかし、重要なのは「特定の期間内に限り無料」という点です。無料期間内で脱毛をあえて完了させないことで、有料の契約を狙うという仕組みになっている脱毛サロンがあるので注意してください。
解約金が発生する
無料期間内だけ脱毛サロンを利用したいという方は少なくありません。そういった方を狙って、解約金を取ることによって利益を得るという仕組みの契約があります。
このパターンの契約に関しては、しっかりと契約書を読み込むことで回避することができます。契約書には解約金について記載をしなければいけないと定められているので、記載がない場合は支払う必要はありません。
クーリングオフや中途解約などを活用できる場合もあります。
契約が数年単位でしかできない
例えば、脱毛無料期間が6ヵ月あるとしましょう。6ヵ月間脱毛を無料で利用できるのは間違っていないのですが、契約自体は2年間で行わなくてはいけないケースがあります。
つまり、6ヵ月は無料だとしても、残りの1年6ヵ月は有料ということになるので、契約時には一定額を支払わなくてはいけません。
初回だけが無料
よくあるケースなのが、初回だけが無料で2回目以降は通常料金がかかるというケースです。しかし、これはあくまでも脱毛サロンを体験してもらうために用意してあるサービスなので、悪質性は全くありません。
2回目以降利用しなければお金はかかりませんし、契約を強制されることもないので安心してください。
なぜ誇大広告は法律上の問題があるのか?
「脱毛無料」という表記は、見方によっては嘘ではありません。広告を見た人を惹きつけられる魅力的な表現なので、集客のために使ってしまう脱毛サロンもあります。
しかし、多くの人が勘違いしそうな記載の仕方をしていると、誇大広告として法律上の問題が起こる場合があります。脱毛サロンの広告に関係している法律には、以下の2つがあるため、それぞれに違反をしないように広告作成を行ってください。
- 景品表示法
- 特定商取引法
景品表示法
景品表示法とは、商品やサービスの内容や価格などを偽って表示したり、実際より良いものに見せようとすることを制限、禁止している法律です。脱毛やエステ業界はもちろんですが、業種を問わずこの法律は適用されます。
景品表示法に違反すると調査、指導が入り、それに従わないと「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科される可能性があります。
景品表示法違反の表現
根拠のない情報や誤解を与える可能性のある表現は、全て景品表示法違反になると考えてください。「業界No.1」「絶対にリバウンドしない」などは、景品表示法違反となる典型的な表現なので注意しましょう。
また、必要な情報を提示していないのも違反となります。「初回のみ2,000円」と記載するのは問題ないのですが、それ以降の金額についても記載しなければ違法となってしまいます。
そして施術前と施術後の写真を載せて、どれくらい変わったのかを示したい場合は「施術回数」「運動量」などの体型を変える可能性のある要因を全て記載しなくてはいけません。
景品表示法に反しない表現
「業界トップクラス」「リバウンド率も低い!」などの表現は、断定しているわけではなく、人によって捉え方が変わります。「トップクラス」にはどこまで含まれているのか、「低い」とはどれくらいからなのか、明言はしていないので景品表示法違反ではありません。
広告を作る際は、魅力的に見せつつも抽象的に表現するようにしてください。また、「※自社調べ」という表記を使って数字を用いるのも効果的です。
特定商取引法
特定商取引法とは、商品やサービスの特定の取引を規制する法律であり、規制対象になると書面の交付義務が発生したり、クーリングオフや中途解約のような対応を行う必要があったりします。
脱毛の施術は特定商取引法の規制対象となっているサービスです。特定商取引法における脱毛の施術やエステサロンの取引などのことを「特定継続的役務提供」と言います。
そして特定継続的役務提供の中には、誇大広告を禁止する内容も盛り込まれています。ここでの誇大広告の内容については、景品表示法と同じと考えて問題ありません。
つまり、景品表示法さえ気を付けていれば、広告関連で特定商取引法違反となることはほぼないでしょう。
特定商取引法に基づく表記
特定商取引法に該当する取引を行っている場合は、ECサイト内に「特定商取引法に基づく表記」として必要な情報を記載しなくてはいけません。
具体的には以下の情報を記載する必要があります。
- 事業者の氏名(名称)等
- 事業者の住所、電話番号
- 商品の販売価格
- 支払い方法と支払いの時期
- 商品の引渡時期
- 返品や交換についての規定(クーリングオフ、中途解約含む)
- 商品に応じた情報
特定商取引法違反の罰則
特定商取引法違反になると、民事と刑事の両方で責任を追及される可能性があります。刑事罰としては違反を行った本人に「懲役3年以下の実刑」、法人には「3億円以下の罰金」が発生します。
脱毛サロンとしての評判も大きく下がってしまうので注意しましょう。また、他にも「薬機法」「医師法」に気を付けるようにしてください。詳しくは以下のリンクから確認できます。
誇大広告によって摘発された事例と理由
誇大広告によって先ほど紹介した3つの法律に違反してしまい、摘発されたケースは少なくありません。大手脱毛サロンでも違反は起こっているので、十分に注意をしてください。
分割によって料金を安く表示
月々数千円から脱毛を利用できると広告に掲載した事例が景品表示法に違反しているとして摘発されました。よく確認すると1年間脱毛サロンに通えるプランを複数年で分割した場合の料金であり、その内容は非常に小さくしか記載されていませんでした。
分割した場合の金利も発生するため、決してお得に利用できるプランというわけではありません。
広告内容と実態が大きく異なる
スマートフォン向けのサイトで月額制と掲載されていましたが、実際は月額ではなくまとめて料金を支払わなくてはいけなかったというケースで、特定商取引法違反として摘発されました。
この会社は、新規勧誘を含めた一部業務を一定期間停止することになり、大幅な損害を被ることになってしまいました。
脱毛無料の広告にはからくりがある!
脱毛無料の広告にはからくりがあり、集客のためにそのような表現をしています。もちろん、魅力的な広告を作ることは大切ですが、法律に反してはいけません。
景品表示法や薬機法について理解していないと、気づかぬうちに違反をしてしまう可能性があります。違反を指摘されて改善したとしても、サロンの評判が下がるのは避けられません。
魅力的な広告を考えつつ、内容が誇張したものにならないように気を付けましょう。