ビジネス 2023年01月27日

エステサロンの開業届は義務?提出のメリットを理解しよう

エステサロンに限らず、何か事業を始める時には開業届を提出しなければいけません。ただ、これから独立して自分のエステサロンを持つという場合、ほとんどの方は開業経験がなく、どのような準備が必要か戸惑ってしまいますよね。

今回のコラムでは、これからエステサロンを開業する方に向けて、開業届の提出方法やそれによるメリットなどについて解説していきます。初めての経験で不安という方はぜひ参考にしてみてください。

エステサロンでも開業届の提出は必要?

今このコラムを読んでいただいている方の中には「そもそもエステサロンを開業する際に開業届は必要なのか」という方もいらっしゃるかもしれません。実際、開業届を出さずに営業しているエステサロンも少なからず存在しているためです。

確かに開業から1〜2年程度であれば、どこからも警告を受けることなく営業を続けられるかもしれません。ただ、何の警告がなくても税務署は金銭の動きをしっかりと把握できています。

売上が一定のラインを超えた瞬間に税務署から納税を催促され、追徴課税を請求されるリスクもあります。そのため、必ず定められた期日内に開業届を提出し、毎年確定申告を行うことを心がけましょう。

開業届を提出すべき理由

開業届を提出することは全ての事業者に義務付けられていますが、それ以外にもいくつかメリットがあります。それらを理解して、手間を惜しまずに提出しましょう。

  • 青色申告で節税できる
  • 赤字を翌年に繰り越せる
  • 社会的信用が高まる

青色申告で節税できる

1つ目のメリットは、青色申告によって節税効果を得られるということです。事業主であれば、毎年必ず確定申告を行わなければいけませんが、確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。

白色申告は手続きが簡単ですが、それ以外に目ぼしいメリットがなく、ある程度の利益を得ている方には基本的におすすめできません。

一方で青色申告の場合、手続きは複雑になりますが、最大65万円の控除を受けることができます。つまり、その分税金が抑えられることになりますが、それにはあらかじめ開業届を提出していることが条件の1つになります。

赤字を翌年に繰り越せる

2つ目は赤字を翌年に繰り越せるということです。

仮に繰り越しができないと、1年目が赤字、2年目が黒字だった場合、2年目は普通に定額を納税する必要があります。ただ、開業届を提出していれば、最長3年まで赤字分を翌年以降に繰り越し、利益分から差し引くことができます。

あまり望ましくはありませんが、開業したばかりのエステサロンの場合、最初の1〜2年は赤字経営になってしまうのは決して珍しくないことです。リスクヘッジのためにも、開業届は必ず提出しておくべきだと言えるでしょう。

社会的信用が高まる

開業届を提出する際、エステサロンの屋号を設定することになり、それを利用して銀行口座を作ることができます。それによって社会的信用が高まり、顧客や取引先、金融機関に信用してもらいやすくなります。

また、オーナーの個人口座とサロンの口座を明確に分けることで、サロンの資産を容易に管理できるようになる効果もあります。

個人事業主と法人で開業手続きは異なる

開業届の提出はあくまで開業手続きの1つですが、その手続きは個人事業主と法人とで異なります。個人が開業するエステサロンの場合、まずは個人事業主としてスタートすることがほとんどですが、両方の場合の開業手続きを簡潔にお伝えします。

個人事業主の開業手続き

個人事業主の手続きはとてもシンプルです。

開業日から1ヶ月以内に、登録する事業所を管轄する税務署に開業届を提出するのみ。初めて開業するという方であっても、特に戸惑うことはないでしょう。

実際は開業届以外にもいくつか提出する書類がありますが、詳しくは後述していきます。

法人の開業手続き

次に法人の場合の開業手続きです。既に多くの顧客を抱えているなど、開業当初から一定の売上を見込める場合は、最初から法人を設立することが望ましい場合もあります。

開業手続きは少し複雑で、大まかに以下の手順を踏む必要があります。

  • 定款を作成する
  • 出資金(資本金)を振り込む
  • 登記申請書を作成する
  • 会社設立登記を行う

やはり個人事業主と比較すると難易度は上がりますが、個人事業主から法人になる場合も同様の手続きを要します。

施術内容によっては保健所への申請が必要

上で解説した通り、個人事業主であれば基本的に開業届を提出するだけで手続きは終了します。しかし、中には保健所で美容所登録をしなければいけないケースがあるということを覚えておきましょう。

例として挙げられるのは、以下の種類の美容エステサロンです。

  • 美容室
  • まつ毛エクステサロン
  • 鍼灸サロン

これらの共通点は、開業、及び施術にあたり、国家資格が必要になるということ。それに伴い、

  • 美容所開設届
  • 従業員名簿
  • エステサロンの平面図
  • サロン周辺の平面図
  • 免許証or修了証
  • 結核・伝染性皮膚疾患ではないことを証明する診断書

以上の書類が必要になります。場合によっては他の書類が必要になることも考えられるため、まずは管轄の保健所に連絡し、何の書類が必要になるか正確に把握しましょう。

開業届はいつ提出すればいい?

開業届の提出期間は開業日から1ヶ月以内です。作成自体はそこまで時間を取らないため、つい後回しにしてしまうオーナー様も多いのですが、忘れずに提出しましょう。

  • 税務署の窓口に提出する
  • 郵送で提出する
  • オンラインで提出する

以上の3種類の方法で提出できるので、任意の方法を選択しましょう。

開業届はどこで入手できる?

ちなみに開業届は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。税務署の窓口で受け取ることもできますが、オンライン以外で提出する場合もダウンロードしたデータを印刷した方が、税務署に足を運ぶ手間もかかりません。

国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」はこちら

開業届以外に必要な書類

最後に開業届以外に提出する必要がある書類を紹介いたします。

  • 青色申告承認申請書
  • 青色専従者給与に関する届出書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 源泉徴収所得税の納期の特例の承認に関する申請書

青色申告承認申請書

先ほど触れた、青色申告を行うために必要な書類です。この書類を提出しないと白色申告しかできないので、開業届と同じタイミングで提出しておくことが望ましいです。

青色専従者給与に関する届出書

中には配偶者やご家族をサロンスタッフとして雇うケースもありますが、その場合に必要なのがこの「青色専従者給与に関する届出書」です。こちらを提出しないと、配偶者・親族に支払った給与を経費計上することができません。

知らずに提出を怠ると、思わぬ損失を被ることになるため、忘れずに提出しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

配偶者や親族に関わらず、従業員を雇用する場合に必ず提出しなければならないのが「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」です。

従業員を雇用する事業主は、給与から所得税を差し引いて納付する、いわゆる源泉徴収を行う必要があります。これまでどこかのサロンに雇用されていたという方ならご理解いただけるでしょう。

こちらの書類はその源泉徴収を承認してもらうための書類で、開業当初から従業員を雇う場合は1ヶ月以内、つまり開業届と同じ期日内に提出する必要があります。

源泉徴収所得税の納期の特例の承認に関する申請書

こちらも従業員を雇用する場合に必要なのが「源泉徴収所得税の納期の特例の承認に関する申請書」です。雇用者は従業員の分の源泉徴収税を納付する義務がありますが、この書類を提出しておけば、本来毎月納付しなければならない源泉徴収税を半年に1回にまとめることができます。

提出期限は特にありませんが、対象となるのが従業員が10人未満の小規模な事業に限られるため、該当する場合は早めに提出しておくことをおすすめします。

後回しにせずに早めの準備がおすすめ

最後に解説した通り、実は開業する際には開業届以外にも複数の書類の提出が必要になる可能性があります。

ただ、開業前後は他にも色々な手続きや準備が必要になり、書類の提出などは後回しにしてしまう方も多いです。そのまま忘れてしまわないためにも、必要書類は最初にリストアップし、期日内に漏れなく提出することを心がけましょう。

この記事の執筆者

NBS

NBS編集部

株式会社NBSは創業以来、日本全国の約1,500店舗のエステサロンや美容室に脱毛機を導入し、約3,000店舗のサロンと商品取引を行ってきた美容総合メーカーです。特に脱毛機においては業界のリーディングカンパニーとして数多くの商品を開発してきました。本サイトでは、美容サロンに関するこれまでの豊富な知識と経験を活かし、サロンオーナーの皆様に役立つ情報発信を行ってまいります。

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