個人エステサロンの中には、脱毛のほかにオイルを使ったアロママッサージをメニューに加えているお店も多く見つかります。
肌トラブル回避や脱毛効率の観点から全身脱毛とマッサージの併用は推奨できませんが(顔やVIOなど、部分的な脱毛との併用は可能)、メニューを増やせばより幅広くお客様のお悩みに対応できるようになるでしょう。
今回は、オイルを使ったマッサージのメリットとオイルの選び方、香りによって違う効能について解説します。
アロママッサージのニーズは高い
アロママッサージの主な目的は心身のリラックス。
血液やリンパの循環促進以上に、お客様の疲れをオイルの香りや効果を活用して癒すための施術です。
高いリラックス効果が大切なので、強い痛みを感じるような施術をすることはありません。
身体や気持ちの状態に応じてアロマオイル(香り精油)を使い分ければ、よりお客様にリラックスして頂ける施術ができますよ。
- 忙しく、なんとなく落ち着けない時
- 気持ちに波がある時
- 全身に疲労感がある時
- 香りで癒されたい時
こういった時にアロママッサージをお試しいただくと、回復のお手伝いができるでしょう。
マッサージオイルの種類
マッサージオイルの種類は、大まかに以下の3通りです。客様の肌に使うものですから、候補の商品はひとつひとつ念入りに品質や香りをの特性を確認しましょう。
- キャリアオイル
- ミネラルオイル
- 水溶性オイル
キャリアオイル
キャリアオイルは、植物から抽出された100%天然の植物由来オイル。
品質の高さや肌への馴染みやすさが強みです。
アロママッサージ用のオイルとして使う場合は、精油と混ぜてアロマ効果とリラクゼーション効果を両立できるように工夫されます。
容量が多いものを買えば割安ですが、空気に触れると酸化が始まるのでなるべく短期間で使用できる量を購入するのが良いでしょう。
使用期限の目安は開封後半年ほどです。
ミネラルオイル
石油を原料とし、得られるタンパク質を精製して不純物を取り除いたオイル。
赤ちゃん用のベビーオイルもミネラルオイルの一部です。
酸化しにくいことから長時間の施術にも適しており、コストパフォーマンスが高いことも長所。
こちらも半年を目安に使い切れるとベストです。
水溶性オイル
水と油を乳化させて作っているため、他のオイルよりも水で簡単に洗い流せるオイルです。
タオルのべたつきや酸化臭が残らず、施術者の負担がかなり軽減できます。
美肌成分をブレンドした商品も多く、他のオイルと同様に使うことができます。
マッサージオイルの選び方
マッサージオイルは、アロママッサージの要となるアイテムです。ここでは、オイル選びで失敗しないために注意したいポイントを6つご紹介します。
- テクスチャーを確認する
- 肌質適正を確認する
- 効能を確認する
- お手入れの楽さで選ぶ
- 好みの香りで選ぶ
- 信頼できるメーカーかを確認する
テクスチャーを確認する
同じマッサージオイルでもベビーオイルのようにサラっと使いやすいものから、エキストラバージンオリーブオイルのようにかなり重たいテクスチャーのものまで様々です。
自分が使いやすいもの、お客様に不快感を与えなさそうなものを選びましょう。
肌質適正を確認する
肌が敏感なお客様の場合は、オイルに含まれる香料などの添加物で刺激を受けてしまう場合があります。また、オイルによってはアレルギーを起こすこともあり得ます。
ヒリヒリしたり、かゆみが生じたりしないように、使い始めはパッチテストなどをしてからが望ましいでしょう。
効能を確認する
後ほどご説明しますが、アロマオイルの香りには種類によって効果の違いがあります。
気分を落ち着ける、元気にするといった気持ちに働くものから、免疫系に作用するものまで、その効き方は様々です。
複数種類用意して、お客様の悩みから使用商品を決めるのもいいですね。
お手入れの楽さで選ぶ
施術に使ったオイルの付いたタオルは洗いにくいものです。こぼした時も拭き取りにくく、床に残ってシミの原因となったり最悪滑って転んでしまったりする可能性も。
水溶性オイルのような水で洗い流しやすいものであれば、掃除や洗濯もラクですよ。
好みの香りで選ぶ
香りは好みがかなり分かれるものです。
お客様に合わない香りのオイルで長時間の施術を行ってしまうと、せっかく最善を尽くしても満足度は低下してしまうかもしれません。
これを防ぐ意味でも、複数の香りのオイルを用意しておくのはひとつの効果的な手段です。
まずは自分の好きな香りから揃えつつ、徐々にバリエーションを広げていくのも良いですね。
オイルを複数所持していると酸化による品質劣化が気になるので、来店客数や回転率を考慮して揃える本数や容量を決めましょう。
信頼できるメーカーかを確認する
マッサージオイルは多くのメーカーから販売されており、同じような商品でも成分や配合比率、濃度などに違いがあります。
お客様との不要なトラブルを避けるためにも、信頼できる大手企業や安全性が保障できる企業から販売された商品を選びましょう。
アロマオイルの香りの種類
一口にアロマと言っても、お花畑のような香りやフレッシュな香り、森の中にいるような香りなど、香りに感じる印象は種類によって大きく異なりますよね。
マッサージオイルや混ぜる精油を選ぶ際には、以下の香りの分類を参考にしてみましょう。
- フローラル系
- ウッディ系(樹木系)
- 樹脂系
- ハーブ系
- 柑橘系
- オリエンタル系
- スパイス系
フローラル系
おもに花から抽出される系統が分類されます。
花の香りに合わせて特徴は多種多様ですが、華やかな香りや甘く柔らかな香りが多くどの世代からも人気が高いです。
フローラル系の主なアロマはローズ、ラベンダー、ゼラニウム、ネロリなどです。
ウッディ系(樹木系)
木の樹皮や枝、葉などから抽出される系統。
森の中にいるように爽やかで清々しい香りです。癒しの効果が大きく、長く重厚に香りが残り続けるのも特徴です。
ウッディ系の主なアロマは、サンダルウッド(白檀)やティーツリー、ユーカリなど。
樹脂系
樹木の樹脂から抽出されます。甘味やスパイシーさを感じる濃厚な香りが特徴で、香りの持続力も高めです。
フローラル系や柑橘系などと比べるとクセがあります。
樹脂系の主なアロマはフランキンセンス、エレミ、ミルラ、ガルバナムなどです。
ハーブ系
ハーブの葉や種などから抽出される香りで、青臭さや苦味を感じる清涼感の強い香りが特徴です。
リフレッシュや気分転換にピッタリなので、精油をハンカチに少しだけつけて仕事や勉強中に使う方法も人気が高いです。
ハーブ系の主なアロマはペパーミント、レモングラス、タイムなど。
柑橘系
爽やかとフレッシュさが持ち味の、柑橘系果実から抽出される種類です。
持続時間は短いですが甘くさわやかで親しみやすく、ホッとしたい時に向いています。
抽出元の果実の香りに近いので、お客様がどんな香りかイメージしやすい点も強みでしょう。
柑橘系の主なアロマはオレンジスイート、マンダリン、ベルガモット、グレープフルーツホワイトなどです。
オリエンタル系
東南アジアや中東を思わせる、魅惑的でエキゾチックな香りが分類されます。
個性的で重く甘い強い香りを持つので、精油を混ぜて使う時には注意が必要かもしれません。
ブレンドすることでより幅広く楽しめる香りに変わります。
オリエンタル系の主なアロマにはイランイラン、ベチバー、パチュリなどが挙げられます。
スパイス系
スパイス類から抽出される種類。好みが分かれるピリッとした香りが特徴的です。刺激が強めなので、オイルマッサージに用いることは少ないと考えられます。
スパイス系の主なアロマはカルダモン、クローブ、ジンジャー、クミンなどです。
香り別の効能
香りが様々なように、その効能もそれぞれ特徴や相違点があります。あらかじめ香りがついたオイルではなく、アロマの勉強をした上で精油でそろえてブレンドするのもお客様にお楽しみいただけそうです。
ここからは人気の高いアロマオイルの効能をいくつかご紹介します。
- ラベンダー
- ローズマリー
- オレンジスイート
- ローズ
- サンダルウッド
- ユーカリ
- ティートリー
ラベンダー
交感神経と副交感神経のバランスを整える効果や鎮静作用、高いリラックス効果、安眠効果を持ちます。ストレスを日常的に感じていたり、心身の疲れが蓄積していたりとコンディション不調の時におすすめです。
ローズマリー
草木のスッキリした香りが精神を高揚させ、落ち込みがちな気分を立て直してくれるでしょう。集中力アップも期待できます。
心臓の拍動を強め、手足の冷えや低血圧にも効果を発揮します。
オレンジスイート
リフレッシュやリラックスの効果が高いため、不安や緊張、ストレスやうつ状態から気分を前向きに持っていく効果が期待できます。
消化器系の安眠を促す効果もあるので、
ローズ
心を癒し高揚させることで、ストレスや緊張を緩和し幸福感をもたらします。
女性ホルモンのバランスを整える力にも長けているので、生理前の気分の落ち込みにもピッタリの香りです。
肌の炎症を抑えてターンオーバーを促し、アンチエイジングや乾燥にもアプローチができます。
サンダルウッド
精神を鎮静・調和させ、強く保つ作用が期待できます。世俗的な不安や執着を、ぐるぐる考えてしまう思考を落ち着かせる力があるので、瞑想にも使われることが多いです。
炎症など熱性の不調にも効果があるほか、不足した水分を補ってくれるため乾燥肌の保湿にも適しています。
ユーカリ
精神的に煮詰まってしまった時、積極的で意欲的な気持ちを取り戻す効果を発揮します。
強力な殺菌作用や抗ウイルス作用、抗炎症化作用も持つため、気管支トラブルや風邪の予防なども期待できます。
ティートリー
沈んだ気持ちを引き上げて元気や活力を与えてくれます。
免疫調整作用や抗ウイルス作用、殺菌・消毒作用が期待できます。風邪やインフルエンザ予防に効果を発揮し、新型コロナウイルス感染が広まり始めた時期にも人気を集めました。
香り選びに迷ったときはラベンダーがおすすめ
マッサージオイルや精油の選択肢が多すぎて迷う!と思ったら、まずはラベンダーの香りから選んでみましょう!
ラベンダーは用途が広く「万能の香り」とも言われています。
- 自律神経の調整
- 鎮静・鎮痛作用
- 安眠作用
- 抗うつ作用
- 抗炎症作用
- 抗けいれん作用
- 血圧降下作用
- 抗菌、抗ウイルス作用
さらに毒性もないので、どんなお客様にもオールマイティにおすすめしやすい利便性の高さも強みとなるはず。
ラベンダーをマッサージオイルに使用する際の注意点
万能選手のラベンダーですが、使用を避けるべき人やタイミングはあります。
ラベンダーの注意点は以下の通りです。
- 妊娠中の使用を避ける
- 低血圧の人はだるさ・眠気を起こす可能性がある
- 車の運転前の使用は控える
- 不眠時に高濃度で使用すると逆効果なので避ける
- ラベンダー以外の香りでも、精油には何かしらの禁忌や注意点が存在します。
使用前にはきちんと使用上の注意を確かめておきましょう。
アロママッサージに興味があったら学んでみよう
アロママッサージは比較的メニューにも取り入れやすく感じられる施術です。
とはいえ、施術はお客様に行うもの。スクールや講座などでアロマとマッサージに関する正しい知識を得てからメニュー化すべきです。
アロママッサージは人気が高いので、学ぶめどがついたら脱毛や痩身などのサブメニューとして検討してみましょう。