エステサロンはお客様とエステティシャンのコミュニケーションによって成り立つ、接客業としての側面が大きいです。どんなに丁寧なサービスを提供していても、思わぬことがきっかけでお客様に不快な思いをさせてしまい、クレームに繋がることがあります。
今回のコラムでは、エステサロンにとって避けられないクレーム対応について詳しく解説していきます。クレームを未然に防ぐための方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
エステサロンにおけるクレーム対応の重要性
お客様に寄り添った接客や施術を心掛けているエステサロンでも、人為的なミスや機器の故障をきっかけとしてクレームが発生してしまうことがあります。
クレーム対応をおろそかにしてお客様の不快感を増大させてしまうと、例え継続的に通ってくれていたお客様でもすぐに離れてしまうでしょう。ネガティブな口コミが拡散され、エステサロンのイメージが悪くなってしまうケースも考えられます。
ポイントを押さえて正しいクレーム対応を行うことができれば、お客様の気持ちを大切にしていることが伝わり、サロンの印象をアップさせられるかもしれません。エステサロンにおいて正しいクレーム対応を行うことは、店舗の信頼度を維持する上で非常に重要です。
エステサロンで発生し得るクレームとは
エステサロンで発生し得るクレームについて、シーン別に詳しく解説していきます。
- 施術前
- 施術中
- 施術後
施術前
施術前に多いのは、予約に関するクレームです。
予約が取れていない
Web上の予約ツールを利用していないサロンでは、スタッフ間の認識違いにより予約が取れていなかったという事態が発生しやすいです。スタッフ間の情報共有を徹底したり、予約の手順をシンプルにするといった対策が求められます。
近年は、LINEや専用の予約システムを通して誰でも手軽に施術の予約を取れるサロンが増えていますが、そういった店舗でもクレームは起こり得ます。
Web上のツールを活用するとサロン側の人為的なミスは生じづらいですが、システムトラブルやお客様の操作ミスにより、実は予約が取れていなかったというケースが考えられます。
予約が取れない
人気の高いエステサロンでは、数ヶ月先まで予約枠に空きがないこともあります。小規模のサロンでも、仕事帰りや週末といった比較的多くのお客様が来店する時間帯はすぐに予約枠が埋まってしまうことも。
施術の質を維持しつつ効率良く進めることで、回転率をアップさせられると良いでしょう。エステサロンの規模によっては、新たにスタッフを採用するのも有効な対策だと言えます。
施術中
エステサロンで最も多いのが施術中のクレームです。具体的には、以下のような内容が挙げられます。
- エステ機器の出力が強すぎる
- ハンドエステの力が強すぎる・弱すぎる
- エステティシャンの手が冷たい・かさついている
- 施術中は話しかけないでほしい
- オイルの拭き取りが十分でない
- スタッフごとに施術スキルのばらつきがある
- 空調の温度が低すぎる
エステサロンを訪れるお客様の中には、施術による効果だけでなく、非現実感や特別感のある雰囲気の中で得られる癒しを求めている方も多いです。施術中のちょっとした違和感がストレスやサロンへの不満になってしまうことも少なくありません。
どのスタッフが担当しても、安定して質の高いサービスを提供できる体制を整えることが求められます。接客や施術に関するマニュアルの内容を全スタッフに周知したり、定期的に研修を実施したりすることをおすすめします。
施術後
施術が終わった後は、以下のようなクレームが発生する可能性が考えられます。
- 肌トラブルが発生した
- 思ったような効果が現れない
- 勧誘がしつこい
肌トラブルが発生した
施術後のクレームの中で比較的多く見られるのが、肌トラブルに関するものです。特にニキビや発疹といったトラブルが多く見られる傾向にあります。
お客様の健康に影響し得る深刻なトラブルについては、安易に原因を推測したりアフターケアについてアドバイスしたりするのではなく、医療機関の受診を勧めてください。
思ったような効果が現れない
例えエステティシャンのスキルが高くても、思ったような効果が出ないというクレームが発生することは決して珍しくありません。
エステサロンで行われる多くの施術は継続して利用することを前提としており、効果の現れ方には個人差があります。しかし、1回の施術ですぐに大きな効果が現れることを期待して来店するお客様も少なくありません。
施術の効果に関するクレームには、すぐには効果が現れないことや個人差があることについて丁寧に説明して対応することがベストです。施術前のカウンセリングで丁寧に説明すれば、そういったクレームを未然に防止することもできるでしょう。
勧誘がしつこい
お客様が施術を受けてくれた後に、物販で取り扱っている商品や別の施術メニューを勧めるエステサロンは多いです。
客単価をアップさせたりお客様に長期的に通ってもらったりするためにはこうした勧誘も必要ですが、行き過ぎた勧誘はお客様に不快感を与えてしまいます。
お客様の反応を見て、必要に応じて勧誘の量や回数を減らすことが大切です。既に勧誘を断ったお客様の情報をスタッフ間で共有しておくと、特定のお客様に何度も同じ話をしてしまうことを防げます。
エステサロンにおけるクレーム対応の基本
エステサロンにおいてクレーム対応を行う際には、以下の4点を意識することが基本です。
- お客様の話を親身になって聞く
- お客様の立場になって解決策を考える
- お詫びと感謝を伝える
- 必要に応じて医師・弁護士を頼る
お客様の話を親身になって聞く
エステサロンに限らず、クレーム対応を行う際に必ず意識すべき点として、お客様の話を親身になって聞くことが挙げられます。例えお客様の勘違いによるクレームであっても、決して反論したり不満気な態度を取ったりしてはいけません。
丁寧に相槌を打つ、「〇〇ですね」とお客様の言葉を繰り返して確認するなど、お客様の話にしっかりと耳を傾けることが大切です。その上で、まずは心を込めて丁寧に謝罪しましょう。
お客様の立場になって今後の対応を提示する
サロン側の不備によって発生したクレームの場合、お客様の話を聞いて謝罪するだけでは不十分です。一度エステサロンに不信感を持ったお客様の信頼を取り戻してもう一度来店してもらうためには、今後同じ事態を繰り返さないための改善策を提示しなければなりません。
お客様に納得してもらえるか、お客様が安心して来店できるかを熟考して解決策を見出しましょう。サロンに雇用されているスタッフがクレーム対応を行った場合は、経営やサロンの理念について深い理解のある責任者と相談して改善策を検討することが一般的です。
お詫びと感謝を伝える
改善策を提示して納得してもらえたら、お客様に迷惑をかけたことに対するお詫びを改めて伝えましょう。
「貴重なご意見をありがとうございました」というように、意見を直接伝えてくれたことへの感謝を添えられるとなお良いです。
クレームを言うお客様の中には、サロンのためを想って勇気を出して伝えてくれる方もいるかもしれません。謝罪に加えて感謝の気持ちを伝えることで、お客様の気持ちを楽にできるでしょう。
必要に応じて医師・弁護士を頼る
お伝えしたように、お客様の身体に直接触れたり機器を当てたりするエステサロンでは、施術後の肌や身体の不調に関するクレームが寄せられることもあります。お客様の健康面に関しては、医療機関ではないエステサロンで適切に対処することは難しいです。
医療機関の受診を勧める、賠償責任に発展し得るケースでは弁護士に相談するなど、必要に応じて専門家を頼ることも大切です。お客様を守ることだけでなく、サロン側が不当な損害を被ったり間違った責任を問われたりするのを防ぐことにも繋がります。
エステサロンのクレームを未然に防ぐには
エステサロンにおけるクレームを未然に防ぐためのポイントとして、以下の2点が挙げられます。
- 契約書を読み合わせる
- スタッフのスキルアップに努める
回数券を購入したお客様や複数回の施術を前提としたコースを契約したお客様は特に、契約書の読み合わせを丁寧に行うと良いでしょう。契約内容に関する認識違いを防ぎ、金銭トラブルのリスクを回避することができます。
接客や施術の際にお客様に不満を抱かせず、快適に利用してもらうためには、スタッフのスキルアップが欠かせません。お客様に寄り添ったサービスを追究し、改善する努力を続けるべきです。
- 施術中に無理な体勢になる瞬間がある
- 専用の衣類を身に付けて施術を受けると室内が寒く感じる
スタッフ同士でロールプレイングを行うとよりお客様の気持ちを理解しやすくなり、上記のようなより細かな改善点に気付くことができます。
お客様を感動させるクレーム対応で印象アップに繋げよう
エステサロンにおいて、クレームは発生しないことが理想です。しかし、お客様の勘違いやスタッフ間の認識違いなどをきっかけとした防ぎようのないクレームも時には起こり得ます。
お客様を思いやったクレーム対応を心がければ、お客様のサロンに対する印象を来店前よりアップさせることも可能です。今回ご紹介したポイントを押さえ、お客様に誠実な姿勢が伝わるようなクレーム対応を心掛けてみてください。
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