エステサロンの経営を安定させるためには、集客力をアップさせて売上を伸ばすだけでなく、経費を削減して利益を増やしていくことが欠かせません。
エステサロンを運営していく中で必要となる経費は家賃や人件費、広告宣伝費など多岐に渡ります。小さな取り組みを積み重ねることで、大幅に削減することが可能です。
今回のコラムでは、エステサロンの経営に必要な経費について詳しく解説していきます。経費を削減するコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
エステサロンの経営に必要な経費の内訳
エステサロンを経営していく上で必要となる経費の内訳は、以下の通りです。
- 家賃
- 人件費
- 商材費
- 水道光熱費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 保険料・各種税金
- その他の経費計上できる費用
家賃
契約したテナントや賃貸マンションを利用してエステサロンを経営する場合、月々の家賃を支払わなければなりません。なお、家賃の売上に対する理想的な比率は約10~15%だと言われています。
自宅の一角でエステサロンを経営するのであれば、家賃は発生しません。しかし、自宅が賃貸物件であり毎月家賃を支払っている方は、サロンとして使用しているエリアの割合に応じて家賃の一部を経費として計上することができます。
人件費
自分以外のスタッフを雇う場合は、当然人件費が必要となります。人件費は売上の約20~30%に収めることが望ましいとされていますが、適切な費用は従業員の雇用形態によって変動します。
スタッフの給与に加えて、雇用保険料や社会保険料、交通費などを支払わなければならないことに留意するべきです。スタッフの給与(手取り額)の1.5~2倍程の費用が必要になると考えておきましょう。
商材費
商材費は施術時に使用する備品や物販の商品を仕入れる際に発生する費用のことを指し、およそ10~15%の売上比率が望ましいとされています。エステサロンを経営する際には、以下のように多くの備品を確保する必要があります。
- タオル
- ベッド
- 美容機器
- シーツ
- ショーツ
- スリッパ
- メイク落とし
- スタッフのユニフォーム
- 清掃道具
- トイレットペーパー
- 衛生用品
- 荷物カゴ
繰り返し購入しなければならない消耗品に関しては、他の商品を定期的にチェックしておくと良いです。より安価な商材を新たに見つけたら積極的に取り入れることで、商材費の削減に繋げられる可能性が高まります。
ただし、施術の質に影響するタオルやシーツ、サロンの衛生環境を整える清掃道具といった顧客満足度に関わる備品は、安さよりも質の高さを優先して商材を選ぶようにしてください。
水道光熱費
エステサロンにおける水道光熱費には、照明やエアコン、水道だけでなく美容機器やシャワールームの利用料金も含まれます。季節やサロンの規模、使用する美容機器によって異なりますが、年間を通して売上の3%以下を維持できると良いでしょう。
自宅サロンの場合は、家賃と同様にサロンの運営に使用している電力や水道の割合に応じて一部を経費として計上できます。
通信費
- 売上
- お客様のカルテ
- 予約状況
- クーポン・ポイントカード
上記のような情報をWeb上で管理することが主流となっている昨今、エステサロンには電話回線だけでなくインターネット回線の導入も必須だと言えます。
Wi-fi環境を整えておくと、サロンの運営がスムーズになるだけでなく、お客様に回線を利用してもらうことも可能であり、待ち時間を快適に過ごしてもらえます。
広告宣伝費
エステサロンを開業したばかりの頃は十分な認知度を獲得することが難しく、集客に苦戦するケースがほとんどです。そのため、売り上げを伸ばすためには、チラシやホームページといった様々な媒体を用いた宣伝活動を通して認知度をアップさせることが欠かせません。
売上の約5~10%を目安として、広告宣伝の費用を確保することをおすすめします。
集客を行う際には、必ず広告宣伝に使用した媒体の効果を分析してください。使用した媒体が客数の増加に結びついているかを確認することで、成果が見られない媒体を利用し続けて無駄に予算を費やしてしまうのを防げます。
保険料・各種税金
- 施術によってお客様に損害を与えてしまう
- お客様から預かった荷物を紛失してしまう
- 火災や災害に巻き込まれる
- お客様と契約を結ぶ際にトラブルが生じる
エステサロンの経営には、上記のような予期せぬ事態がつきものです。不測のトラブルに巻き込まれてしまうと、経営に支障が出るほどの大きな損害を被ることもあります。
そういったケースに備えて、エステサロンを経営する際には火災保険や賠償責任保険などに加入することが一般的です。このような保険に加入することで発生する月々の支払いも、経費に該当します。
個人事業主として経営を行う中で発生する消費税や固定資産税、個人事業税に加えて、以下のような費用も経費として計上することが可能です。
- 旅費・交通費(私用は含まない)
- サービスやシステムの利用料
- インテリアの購入費
- サロン設備の修繕費
- 研修やセミナーの参加費
エステサロンが経費を削減するメリット
エステサロンが経費を削減するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 利益を拡大させられる
- 売上アップを見据えた投資が可能になる
- 削減した費用をスタッフに還元できる
利益を拡大させられる
エステサロンで発生する利益は、売上から経費を差し引いて算出することが可能です。獲得した売上が同じでも、サロンの運営にかかる費用が少なければ少ないほど得られる利益は大きくなります。
サロンの利益を拡大させて経営状態の改善を目指せる点は、経費を削減する最大のメリットだと言えます。
売上アップを見据えた投資が可能になる
経費を削減すると資金繰りに余裕が生まれるため、サロンの売上アップを目的とした投資に資金を費やすこともできます。
具体的には、新たな美容機器を購入して新メニューを導入する、施術ベッドを増設して受け入れられる客数を増やすといった挑戦が可能です。
削減した費用をスタッフに還元できる
この後詳しくご紹介しますが、経費を削減するにはスタッフの協力が欠かせません。力を貸してくれたスタッフに、経費の削減によって拡大した利益の一部をぜひ還元してあげてください。
経費の削減に取り組んだ効果が報酬として得られれば、スタッフは高いモチベーションを持って無駄な出費を減らすための対策に取り組むことができるでしょう。
エステサロンでできる経費を削減する方法
エステサロンを運営する上で発生するコストのうち多くの割合を占めるのは、以下3つの項目だと言われています。
- 人件費
- 家賃
- 広告宣伝費
これらを削減する方法について、詳しくご紹介していきます。
人件費
人件費を削減する方法として最も有効なのは、業務の効率化です。スタッフの労働時間を減らすことで、残業代を最低限に抑えられます。
- 自動化システムを導入する(会計・予約・売上管理・顧客管理など)
- 予約状況や季節に応じてシフトを調整する
- サロンワークをスムーズに行えるようマニュアルを作成する
具体的な方法としては、主に上記の3点が挙げられます。スタッフに業務を効率化する方法を募るのも有効です。現場で働いているからこそ得られる以下のような気づきは、最低限の時間で業務をこなすための大きなヒントとなってくれるかもしれません。
- お客様に渡すクーポンは会計の際にスタッフが立つ場所のそばに配置するべき
- エステ機器のメンテナンスは決まった時間にまとめて実施するべき
家賃
毎月一定の金額を支払わなければならない家賃を削減することは簡単ではありません。方法として挙げられるのは、家賃の値下げ交渉です。
賃貸の契約が満了するタイミングで打診すると、引き続き契約を更新してほしいと考え、貸主が契約内容を見直してくれるかもしれません。
広告宣伝費
エステサロンの集客力に大きく影響する広告宣伝費は、積極的に削減すべきではありません。ただし、効果測定を実施して客数の増加に繋がる媒体を精査したり、以下のように複数の媒体を用いて相乗効果を狙えば、費用対効果を高めることができます。
- ホームページへのリンクをSNSアカウントに設置する
- SNSアカウントのQRコードを掲載したチラシを配布する
エステサロンで削減すべきでない経費
顧客満足度に直結する以下のような費用は、むやみに削減するべきではありません。
- スタッフの教育コスト
- 美容機器のメンテナンス費
- インテリアの購入費
- お客様に直接触れる消耗品(タオル・ジェルなど)の仕入れ代
経費を削減する目的は、あくまでサロンの利益を拡大させることです。出費を減らすことを意識するあまりお客様に提供するサービスの質が低下してしまうと、顧客満足度が下がって売上が減少してしまう恐れがあり、本末転倒です。
経費のバランスを維持して費用対効果を高めよう
経費を削減すると利益を拡大させられるだけでなく、広告宣伝の機会を増やしたり新たな美容機器を導入したりと売上を伸ばすための投資を積極的に行うことが可能です。
ご紹介した方法を実践して適切な方法でコストを削減し、少ない出費で大きな利益を獲得できる体制を整えてみてください。
エステサロンの経営を成功させるためには、経費だけでなく補助金や確定申告といった、お金に関する様々な知識が求められます。株式会社NBSでは、美容サロンを経営する際に受けられる補助金について詳しくご紹介しています。
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