ビジネス 2023年06月16日

セルフエステ経営で起こりやすいトラブルとは?事例と対策を紹介

リーズナブルな料金でプロ仕様のエステマシンを使用できることから、セルフエステサロンが人気を集めています。サロンを開業する際にも、人件費を削減できることからセルフエステを検討している方も多いのではないでしょうか。

一方で、近年セルフエステでの顧客トラブルが増加しています。利用者にとっても運営者にとっても魅力的な形態のセルフエステですが、適切な運営を行わなければ何らかの問題が発生するリスクがあります。

本記事ではセルフエステで起こりやすいトラブルや、トラブル防止のために行うべきことをご紹介します。セルフエステ開業をお考えの方は、ぜひご確認ください。

セルフエステサロンとは

セルフエステサロンは一般的なエステサロンで使うような業務用のエステマシンを使って、お客様が自分でケアを行う形態のサロンです。お店によって料金形態は異なりますが、主流なのは通い放題の月額制プラン。人件費がかからない分、リーズナブルな料金で利用できることから、若者からの注目も集めています。

セルフエステサロン開業のメリットについてはこちらのコラムで詳しく解説しています。もしよければ合わせてご覧ください。

一方、セルフエステサロンではお客様とのトラブルが増加しており、国民生活センターが消費者に注意を呼び掛けています。これからセルフエステサロンで起こるトラブルとその対策について、以下の種類に分けて解説していきます。

  • マシンの使い方に関するトラブル
  • 施術室・マシンの管理に関するトラブル
  • 契約に関するトラブル
  • 接客に関するトラブル
  • 予約に関するトラブル

マシンの使い方に関するトラブル

セルフエステサロンはプロが施術を行う必要がないため、未経験でも開業できることが大きな魅力です。一方で、「お客様が自分自身で施術を行う」ということはリスクにもなり得ます。

エステサロンで使用される業務用エステマシンは、基本的に専門知識を持ったプロだからこそ安全に使用できます。お客様が自分で施術を行うセルフエステでは、マシンの使用方法を誤って肌トラブルを引き起こすリスクがあります。

以下は、実際に肌トラブルが生じた事例です。

ハイフ機器を自分で操作し顔に当て使用していたところ、唇に刺激が走り、感覚が変になった。店舗からは「今回の1回分の代金約3,000円は返金する。病院に行き、治療費を請求するように」と言われたが、今後 も治療代を払ってくれるのか不安だ。

参考:独立行政法人国民生活センター

マシンの使い方に関するトラブルの原因

マシンの使い方に関するトラブルの原因としては、以下のものが挙げられます

  • マシン使用方法の説明不足
  • 超音波機器のリスクについて説明不足

セルフエステサロンでは、お客様が正しい方法で機器を使用しなければ上述したようなリスクが伴い、マシン本来の効果が出ないといったことによるトラブルにも繋がります。

  • レクチャーが短すぎるサロン
  • 動画レクチャーしか無いサロン
  • 初回利用後の質問・相談ができないサロン

以上のようなサロンは、お客様がマシンの使用方法を正しく理解できない可能性があります。特に完全無人型のサロンではお客様がマシンをどう操作しているかを確認できないため、トラブルのリスクが大きくなります。

超音波機器の持つリスクについてお客様に十分な説明がなされていないこともトラブルを生みます。中でも、ハイフ(HIFU)と呼ばれる高密度焦点式超音波を照射するエステマシンのトラブルについては、国民生活センターに多くの相談が寄せられています。

ハイフは超音波エネルギーによって肌の内部に作用するため、皮膚表面に強い刺激を与えずにリフトアップなどが期待できる機能です。一方で、出力設定の誤りや、同じ部位に照射し過ぎることで肌のトラブルを引き起こす恐れもあります。

ハイフが上記のリスクを持った機能であることはお客様に周知すべき事項ですが、消費者庁はハイフ施術可能なサロンでの注意事項がユーザーに伝えられていないこと、ユーザーがハイフのリスクをわかっていないことを指摘しています。

マシンの使い方に関するトラブルの対策

マシンの使い方に関するトラブルに対しては、以下の対策を講じましょう。

  • スタッフを常駐させる
  • 損害賠償保険に入る
  • 講習会を行う

まず、常駐スタッフを配備することでマシンに何か異常があった場合にすぐ対応できます。肌の悩みやマシンの不明点についても気軽に相談していただけるでしょう。

次に、エステサロンでお客様とのトラブルを想定して開発された保険として、美容サロン向け損害賠償責任保険があります。いくつかの分類がありますが、以下の保険はセルフエステサロンで生じたお客様の肌トラブルに適用することができます。

  • 施設所有(管理)者賠償責任保険
  • 生産物賠償責任保険(PL補償)

多くは年間1万円~2万円ほどで利用でき、トラブルが起きた際に最後まで責任をもって対応してもらえます。ただし、これらはトラブルが起きてしまった場合の最後の砦となるもの。基本的には使わずに済むよう、健全な運営を心がけましょう。

最後に、スタッフそれぞれが十分な知識や技術を有しており、起こりうるトラブルを認識していることも重要です。定期的に講習会を行い、スタッフの知識を増やしたり、これまでに起こったトラブルを共有して改善策を考える機会を作りましょう。カジュアルな座談会のような形式で、月に1回程度行うだけでもトラブルのリスク低減に繋がります。

施術室・マシンの管理に関するトラブル

セルフエステサロンでは、多くのお客様が短時間でエステマシンを利用するサイクルを回すことが一般的です。

本来であれば定期的にルームの消毒やマシンの点検を行うことが望ましいですが、人員削減によりおろそかになっているサロンは多いです。マシンの故障や動作不良、不衛生な施術環境もトラブルの原因になります。

施術室・マシンの管理に関するトラブルの原因

施術室・マシンの管理に関するトラブルの原因としては、マシンの点検がおろそかになっている、お客様が丁寧に施術ルームを利用しないことなどが考えられます。そのほか、用意されているジェルやクリームが肌に合わず、肌荒れを起こしてしまうことも。

施術環境管理に関するトラブルの対策

マシンの故障や不具合を放置しないために、定期的なマシンのメンテナンスは必須です。マシンの耐用年数やメンテナンス頻度については、導入時にメーカーに確認しておきましょう。

また、セルフエステサロンの衛生管理では、お客様一人ひとりの協力が不可欠です。それぞれが快適な環境で施術ができるように、使用後のアルコール消毒や簡易的な清掃を呼びかける張り紙などを設置しておきましょう。お客様の目につきやすいところに設置するのが良いですね。

使用するクリームがお客様の肌に合うかどうかをスタッフが確認するのは難しいため、アフターケア用品は安全性の高い成分が配合されているものを選びましょう。

契約に関するトラブル

セルフエステサロンに関して、肌のトラブルに次いで国民生活センターに多くの相談が寄せられているのが契約や料金に関するトラブルです。

セルフエステサロンの契約は月額契約が主流となりつつあり、サロンによっては契約継続期間規定が設けられています。思ったように効果が出ずにお客様が解約を申し出た際に、スムーズに解約できないことでトラブルになり得ます。

また、解約規定が「来店しないと解約できない」と定めているサロンではお客様が電話で解約を宣言し、解約が完了したと勘違いしてしまうというケースも考えられます。

以下は実際の契約に関するトラブル事例です。

月額費が安いことに惹かれ体験コースで参加。セルフエステの体験が終了した後、エステ店から「今日契約すれば体験施術料と入会金2万円が無料になる」と言われたため、その場で契約。しかし、後から考え直して解約を申し出たところ「3ヶ月間はやめられない」「いま解約するなら入会金と今月の会費分が発生する」と言われてしまい、違約金も発生してしまった。

参考:独立行政法人国民生活センター

近くのスポーツジムで「セルフ脱毛が100円キャンペーン中」という広告を見た。時間が空いていたので、自分で1時間程度かけて施術したら脱毛器が動かなくなった。会計に行くと「135ショット使用したので13,500円になる」と言われ、その時初めてこのキャンペーンは1ショット100円で請求されることが分かった。担当者の説明がなかったと伝えたところ、店側の説明不足もあったのでいったん帰るよう指示された。後日店舗から電話があり「半額でもいいので支払いに来るように」と言われたが納得できない。

参考:独立行政法人国民生活センター

契約に関するトラブルの原因

契約に関するトラブルはスタッフの説明不足が原因であることが多いです。サロンによっては、契約前のカウンセリングが極端に短かったり、そもそもカウンセリングが無くオンラインで契約が完了してしまうものもあります。

お客様が契約約款や料金体系について明瞭な説明を受けないまま契約をしてしまうのは大きなトラブルの原因となります。

契約に関するトラブルの対策

契約に関するトラブルには、以下のような対策が有効です。

  • 契約書面のコピーを渡しておく
  • 同意書を交わす

契約書は、契約当日にお客様にコピーをメールなどでお渡ししておくのがおすすめです。解約に関するトラブルを防ぐために、店舗側とお客様の双方がいつでも見返せる状況であることが重要です。

次に、来店したお客様には必ず同意書を取るようにしましょう。スタッフが口頭で伝えるよりも、同意書でわかりやすく注意事項・禁止事項を伝えるほうが効果的です。また、書面で記載しておくことで、万が一の場合の証明として、トラブルの深刻化を防ぐことができます。

可能であれば3ヶ月に1回ほど見返し、項目をアップデートしていくことも重要です。サロンによっては施術のたびにお客様に同意書を書いていただいているところもあります。

接客に関するトラブル

セルフエステサロンでは接客がないというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は契約や入退店のタイミングでお客様と接することがあります。契約時には、コミュニケーションのずれによってお客様が想定していなかった金額を請求されてしまい、トラブルに発展することなどが起こり得ます。

以下が接客に関する実際のトラブル事例です。

断っているのに「今日契約すれば入会金無料」などと勧誘された
セルフエステの痩身エステに興味を持ち、無料体験で参加。エステマシンを使用し、無料体験の終了後に担当者から入会を勧められた。マシンが自分に合わなかったためか、あまり体調がすぐれず「契約について少し考えたい」と伝えたところ「今日契約すれば入会金と事務手数料が無料になる」と強く勧められて断り切れず、月額1万円のコースを契約した。後日解約を申し出たところ、「解約するなら3万円を請求する」と言われた。高額な解約料に納得できない。

参考:独立行政法人国民生活センター

接客に関するトラブルの原因

接客に関するトラブルの原因としては、スタッフがお客様目線で接客を行えていないことが考えられます。セールスばかりを優先し、ユーザーファーストの接客を行っていないとトラブルのもととなります。

接客に関するトラブルの対策

お客様と直接コミュニケーションをとる機会には、お客様の立場で情報を過不足なく伝えることが必要不可欠です。お客様は説明を聞き流していたり、聞き逃していることがあるため、都度確認を取りながらわかりやすい言葉で伝えると、さらにトラブルを減らせるでしょう。契約時には、マーカーをもって読み合わせを行うのもおすすめです。

店舗や電話でお客様からクレームが寄せられた際には、真摯な対応を心掛けることが重要です。同意書を書いたうえで肌に不調が生じたという方にも、まず体調を気遣う言葉をかけ、近くの皮膚科を紹介してあげると良いでしょう。そのうえで、施術後の体調トラブルは自己責任である旨を丁寧にお伝えすると、お客様も納得してくれやすいです。

サロン側に非がないと考えられる場合でも、「不快な思いをさせてしまった」ということに対してお詫びをし、お客様の非をとがめるような言葉は避けて対応しましょう。

予約に関するトラブル

予約に関して、以下のようなトラブルが想定されます。

  • 予約していたのに、前の利用客の施術が長引いて待たされた
  • 予約していたのに、店舗側の不手際でキャンセルされた
  • 希望しているタイミングでなかなか予約が取れない

人気のサロンになると予約が取りにくくなるのは仕方のないことかもしれませんが、通い放題の契約を交わしているお客様にとってはフラストレーションが溜まってしまいます。また、別のお客様の予約忘れや日程間違えによってスムーズに利用ができなかった時も「せっかく予定を空けていたのに時間が無駄になった」と考える方は多いです。

以下が実際のトラブル事例です。

個人が経営しているエステに通っている。もともと12時からの予約だったが、サロンから「勉強会をしたいので10時に変更してもらえますか?」と言われており、予約の時間である10時に行っても不在。連絡もとれず、いったん帰宅する旨のメールをエステに送信し自宅に帰宅したが、その後電話もなく「本日は12時からご予約でしたがいらっしゃらなかったので本日の分を無断キャンセルとし1回分を消化しました」と返事が来た。サロン側はミスを認めず、解約返金対応にも真摯に応じてくれない。

参考:Yahoo!知恵袋

予約に関するトラブルの原因

予約に関するトラブルの原因の多くは、予約に関する人的ミスだと考えられます。具体的には、サロンによるダブルブッキングや予約の取り違え、お客様による日程忘れなどが挙げられます。

予約に関するトラブルの対策

予約に関するトラブルへの対策として、以下の項目が考えられます。

  • 前日に予約確認メールを送る
  • 予約システムを導入する

予約状況の確認ミスやお客様の予約忘れを防ぐためには、予約の前日にお客様に予約確認メールを送ることをおすすめします。前日に予約確認メールを送っておけば、お客様が予約を忘れていたり、日程を間違えていた場合もトラブルを未然に防ぐことができます。

次に、予約システムを導入することで、以下のようなトラブルの対策にもなります。

  • 他に予約がないか毎回確認する
  • 予約の管理方法を統一する
  • 組織内で情報を共有する

予約体制を見直し、ダブルブッキングなどの予約トラブルを防止しましょう。

セルフエステサロンのトラブルについて理解して円滑なサロン経営を

いかがでしたでしょうか。本記事では、人件費がほとんどかからず、異業種の方でも開業しやすいセルフエステサロンで発生しやすいトラブルを解説しました。手軽な点が魅力なセルフエステサロンですが、トラブル対策を怠らずに健全な経営を目指していきましょう。

NBSでは、“セルフエステ店舗運営”の成功ノウハウを活かし、未経験の方でも開業できる様々なサポート体制、開業後のビジネスサポートを整えています。セルフエステサロンの開業をお考えの方や、ビジネスを成功に導きたいサロンオーナー様はぜひご覧ください。

この記事の執筆者

NBS

NBS編集部

株式会社NBSは創業以来、日本全国の約1,500店舗のエステサロンや美容室に脱毛機を導入し、約3,000店舗のサロンと商品取引を行ってきた美容総合メーカーです。特に脱毛機においては業界のリーディングカンパニーとして数多くの商品を開発してきました。本サイトでは、美容サロンに関するこれまでの豊富な知識と経験を活かし、サロンオーナーの皆様に役立つ情報発信を行ってまいります。

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